被災地の病院、避難所での病気や医療環境

震災直後の病院の状況

震災直後から現在までの医療の動向を調べてみると、最初は
地元の被災を免れた病院や、避難所にいる被災した開業医の
負担が寝る間もないほど増大している様子が伺えます。

入院してた重症患者に関しては、被災を免れたか、被害が軽微な
病院(東北大病院や岩手医大病院等の内陸の病院)へと搬送。
それでも対応できない場合は県外の病院まで搬送という状況です。

被災を免れた地元の基幹病院では、避難所の寒さによる、低体温症、
肺炎、呼吸不全や、慢性疾患の重篤化で運ばれる患者が増大。
ベッドの数が全然足りずに廊下まで使用していたとのこと。

特に石巻病院は震災二日後には1日1200もの救急患者が
搬送。長時間水に浸かったことによる低体温症の患者が多かった
とのことです。
詳細は日系メディカル:5/6より

停電の病院への影響

津波の直撃を免れた病院でも、停電状態のため、自家発電を
稼動させることで、医療活動を行っていたようです。

また発電機の燃料は重油だったようなので、当時の状況での
重油の確保にも病院スタッフが必死だった様子が伺えます。
(詳細は医薬経済:4/25より

しかし、自家発電気は長期間の使用は想定されてないようで
複数ある自家発電の自家発電が、いくつかオーバーヒートして
使用不可能になったケースもあったようです。

ただ、医療機関への電力供給は生命に関わる最優先事項であるため、
数日から1週間以内には東北電力により電力が復旧してた様子が、
復旧状況を調べてると浮かび上がってきます。

医療支援の初動

このような震災時における広域災害救急医療システム(EMIS)に
基づき、日本赤十字社やDMAT(災害医療派遣チーム)などの
チームが震災直後から活動を開始。

ほかにも日本医師会の災害医療派遣チーム(JMAT)、
民医連、徳洲会、日本プライマリ・ケア連合学会などからも
多数の医療者が現地へ向かったようです。

しかし辛いことに、今回は地震による被害はほとんどなく、
津波での被害が圧倒的だったため、DMATの隊員の方の
報告によると、震災直後に見つかるのは、助けられる傷病者
ではなく、死者か軽症の人ばかりだったようです。

詳細は日系メディカル:3/16より

実際、宮城県、福島県、岩手県の3県警が今回の死者の
死因を調べたところ、92.4%が溺死と警視庁が発表してます。
詳細は日テレ:4/19より

海外からの救助隊の方が震災後に被害が甚大な被災地へ
到着しても、雪が降り積もる中、瓦礫と遺体しかなかった様子が
TVで報道されていました。

救助犬も滅多に吠えず、たまに吠えたときは遺体のみ・・・。

国際救助隊の方々がどうしようもない無力感を感じてる様子が
伺え、復興を願いつつ被災地を後にした時の映像が忘れられません。

避難所の環境と、被災地での特に目立つ症例

被災直後は避難所に電気、ガス、水道、毛布もなかったため、低体温症が

また避難所生活での水不足と運動不足のため、エコノミークラス症候群
多発していたことがよく報道されてました。これは本当に多かった症例のようです。

※ エコノミークラス症候群

長時間同じ姿勢をとることで、血が流れにくくなり、血栓ができる症状です。
悪化すると血栓が血管を流れて肺にいきつき、呼吸困難による窒息死に
至ることもあります。

予防には適度な運動と水分の摂取、弾性ストッキング等が奨励されています。

さらに断水による水不足で手が洗えないため、衛生環境は非常に悪い状況。
そのため風邪、インフルエンザ、(ノロウィルス等による)胃腸炎といった
感染症が3月末から4月にかけて流行していた模様です。

詳細はアピタル震災特集より

また被災地では日中、自宅で瓦礫の撤去作業を行う人が多かったようです。
しかし、瓦礫の撤去作業中に舞い上がる有害な粉じんをマスクをつけずに
吸い込んだために肺炎になってしまい、病院へ訪れる人が多かったことも
報道されてました。
詳細は産経ニュース:4/20より

※ もちろんこのような状況に対応するため、被災地ではマスク使用が奨励されて
  配布もされています。

特に多く見受けられる傾向として、避難所では十分な医療や医薬品が受けられ
なかったために(ガソリン不足のため)、慢性疾患(糖尿病、高血圧、ぜんそく等など)が
重篤化した人が多かったことも報告されています。
詳細は週刊ポスト:4/29より

最近の医療のニーズとしては、震災当初の救命活動から慢性疾患の方へと移ってきた
ことが報道されています。
詳細は産経ニュース:4/271より

在宅医療

避難所での生活が難しい(階段等の段差があったり、ストレスに耐えられなかったり)
高齢者、障害者、病人の方()で、家族面、金銭面、体調面等、様々な事情で
被災地外への病院へ転院できない方は、やむを得ず半壊状態の自宅で
生活している方も多いようです。

さらに、もともと地域の在宅医療を担ってきた福祉事務所や老人福祉施設、
訪問看護ステーションのいくつかは、被災したため、無事だった施設の
受け入れ患者が増大。新規受け入れが困難な状況に陥ってたとのこと。

そういった諸々の事情で在宅で医療を必要としている方に対して、
震災後、医療チームを派遣して、在宅医療を提供している団体も多数あります。

日本プライマリケア学会では医師を派遣して被災地で往診。停電により
電動ベッドやエアマットが使えなくなり、褥瘡(じょくそう、いわゆる床ずれ)に
なる方が増大とのことです。他には人工呼吸器やたんの吸引機械も使用不可に
なり死者がでているとのこと。

詳細はキャリアブレイン:4/12より

気仙沼圏内ではJ気仙沼巡回療養支援隊(JRS)
結成、被災地の在宅医療が震災以後ずっと継続されており、多数メディアでも
取り上げられています。
詳細は気仙沼在宅支援プロジェクトより

外部からの応援の医療チーム

徐々に全国や海外の医療機関から医療支援チームが派遣されてきて、
より多くの患者に対応できたり、現場の負担が減ってきたり、被災地外での
被災地の患者受け入れの支援体制が整ってました。

しかし、被災地では様々な医療機関が個別に現地へ支援のため出向き、
1つの避難所で複数の医療チームがバッティングすることもあれば、
全く医療チームが派遣されてこない避難所もあったそうです。

特に今回の震災では市町村が事前に指定していない民間避難所
(周辺の住民が集まり避難所となった場所)も多数あったので、
全部の避難所を震災直後に把握するのはほとんど不可能で
あったのは容易に想像できます。

宮城県では県指定の明確な災害医療コーディネーターが存在し、
地域毎の医療状態を把握し、応援の医療チームが振り分けられるまでは、
このような状況が続いてたようです。

一度、区域全体の医療状況が把握されて支援できる体制が整った
ことで各避難所を医療チームが巡回し、救護室に医者が常駐する状況に
なってきたようです。

ただ、応援の医療チームにも地元にも患者はいるわけで、ずっと
被災地に滞在するわけにもいきません。派遣元の別のチームと交代で
被災地に入っている機関もあるようですが、やはり長期的な支援体制を
整えるためには、国による全国規模の組織的な支援体制が必要不可欠という
状況が見えてきます。

長期的な支援体制

被災地が復旧、被災前のように医療体制が再開するまでの間は
上記のような支援を長期的に継続していく必要があります。

長期的な被災地の医療支援体制を整えるため、
政府の被災者生活支援特別対策本部の要請に基づき、医療関係7団体に
より4月22日、被災者健康支援連絡協議会が設立されました。

※ 医療関係7団体
日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会、
全国医学部長病院長会議、日本病院会、全日本病院協会

被災地の医療ニーズを把握して、必要な医療チームの
派遣と、感染症対策や被災地支援の取り組みを行うようです。
※ 詳細はこちら

こうした国の本格的な支援が回り始めるまでは、県や市町村の
医療担当者と医療チームをまとめる存在の方が連携して、被災地への
支援が途切れないように、外部に応援を依頼している様子が伺えました。

また被害が一部の地域に限定されるところでは、復旧に迷いはないようです。
しかし、町の大半が壊滅したような地域では、避難した住民が元の場所に
どれだけ戻ってくるかわからないこともあり、町全体としてどのように
復興するかも関係してくるようです。

現在の避難所の医療状況

現在の避難所の医療状況に関して、内閣府の被災地生活支援チームの
避難所調査報告(5/2)によると、

・沿岸部の避難所で、医者の巡回や近隣の通院できる医療機関が
 全くない避難所は6.5%、

・週に数回は巡回がある避難所が38.7%、

・1日に1回は巡回がある 又は医師、看護師又は保健士が常駐してい
 る 又は近隣の医療機関が利用できる避難所は54.8%

という結果が発表されています。
※ 詳細は内閣府のこちらの資料

最後に可能な限り早く、全国規模の支援体制と、現地の復興が進み、
現地で奮闘している方々の負担軽減と共に、より安定した医療の
提供が行われることを願ってやみません。

P.S. 新たに情報を仕入れて知識がついたら、随時、修正、追加予定です。

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